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ブラックスワンとは?金融危機・信用収縮・リスクオフをわかりやすく解説

ブラックスワンとは



ブラックスワンとは

ブラックスワン(英語:black swan)とは、起こりえないと思われていたことが起こって、起こった時の衝撃が強い事象のことをいいます。ブラックスワンは、元デリバティブのトレーダーで、認識論研究家であるナシーム・ニコラス・タレブ(Nassim Nicholas Takeb)が2004年以降、著書「まぐれ」「ブラックスワン」などで提唱した概念です。

スワンとは「白鳥」のことです。従来、白鳥は白い鳥だけだと信じられていましたが、1697年にオーストラリアで黒い白鳥が発見され、それまでの考えが一気に覆りました。それ以来、ありえないことが起こることを「ブラックスワン」と言うようになりました。

金融市場では、これまでのデータや経験からは予測できなかったことが起こって市場が強い衝撃(被害)を受け、金融危機に発展するような事象のことを「ブラックスワンイベント」と呼んでいます。


金融市場

金融市場(きんゆうしじょう)とは、資本や信用を取引している市場です。つまり、金融取引が行われている市場です。債券市場や株式市場、外国為替市場商品(コモディティ)市場などがあります。金融市場は金融取引を行う参加者の需要と供給をマッチングさせる場で、その際に成立した価格で金融商品の価値を評価しています。また取引記録は経済統計の基礎となったり、税金を把握する機能があります。企業にとっては資金調達の場となります。


金融危機をわかりやすく解説

金融危機(きんゆうきき)とは、金融機関(金融サービスを専業的に提供する機関。銀行や信用金庫、証券会社、保険会社、消費者金融、カード会社などがそれにあたります)が、債務超過に陥ったり、経営が悪化して預金の取り付けや短期金融市場での資金調達が困難になどなどして資金繰りができなくなって破綻する、あるいは破綻までいたらなくても融資が減少するなど信用収縮が起こって実態経済に多大な影響を与えるような状態のことをいいます。1927年の金融恐慌や、1929年の世界大恐慌、1982年のメキシコ金融危機、1990年代の山一證券や北海道拓殖銀行の破綻、2008年のリーマンショックなどがそれにあたります。

金融危機は、中央銀行が資金供給や低金利政策を行って、市中の貨幣量を増やして市中の購買力を高め、モノや金融商品など資産価格が過度に上昇する状態が続くなどして信用膨張が続いた後(バブルの後)、それを抑えるために中央銀行が金融引き締め利上げなど)を行うなど、何らかの原因がキッカケとなって状況が一変して信用収縮が起こります。信用収縮が起これば、金融機関は不良債権が増えて債務超過に陥ったり、資金繰りが悪化して実体経済に深刻なダメージを与えます。これが金融危機です。大手銀行がそのような状態になれば経済に与える影響が大きくなりますので、政府が公的資金を投入するケースが多いですが、政府債務が増加してしまうため、財政危機に陥る可能性が出てきます。


債務超過とは

債務超過(さいむちょうか)とは、債務者(借金をしている人)の負債総額が資産総額を超える状態です。つまり、資産をすべて売却しても負債を返せない状態のことをいいます。

債務超過に陥った企業は自己資本がマイナスとなりますので、破産手続き開始の原因となり、いつ倒産してもおかしくない状態になります。資産をすべて売却しても負債が返せない、つまり企業を清算しても残る資産がありませんので、株主の取り分がない状態ともいえます。金融機関が債務超過に陥れば、新規の融資ができないとしていることが多いです。融資に関しては、金融機関は自己資本より総資産(自己資本+少数株主持ち分)を指標としている場合もあります。


短期金融市場

短期金融市場(たんききんゆうしじょう)とは、金融機関が、営業活動において一時的に生じるか不足資金を相互に融通し合う市場です。以下の条件を満たす資金取引の市場がそれにあたります。

  • 1年未満の取引期間
  • 市場型の取引形態
  • 自由金利
  • 広範な市場参加者がいる

信用膨張から信用収縮までの流れ

バブルとは、株式や債券などの金融商品や不動産などの資産価格が投機によって高騰し、実体経済からかけ離れて上昇することをいいます。バブルは多くの場合で信用膨張(しんようぼうちょう)を伴います。中央銀行による大規模な資金供給や低金利政策で市中の貨幣量が増え、人々の購買力が高まって資産価格が上昇することを信用膨張といいますが、信用膨張が起こればファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)からかけ離れた資産価格の上昇が起こるため、中央銀行はそれを抑えるために金融引き締めを行いますが、それをキッカケとして信用膨張の動きが止まり、それまでとは逆の動き「信用収縮(しんようしゅうしゅく)」へと転じます。信用収縮が起これば投機の動きが急速になくなり、市場価格は下落し始め、多くの資産価格は下落します。この時、リスク資産は急落しやすいことから、これを「バブルの崩壊」ということが多いです。


恐慌とは

恐慌(きょうこう)とは、金融の縮小が急激で大規模に進行することです。景気後退すれば、生産、雇用、所得が減少し経済が縮小しますが、それが急激かつ大規模に進行することをいいます。


リスク資産とは

リスク資産とは、将来得られる収益が不確実性を伴う資産です。金融市場で取引されている大半の資産はリスク資産に分類され、特に株式はリスク資産の典型です。リスク資産は「危険資産」とも呼ばれています。

債券(特に固定利付債)は、元本と利子が得られるため安全資産(無リスク資産)に分類されることも多いですが、償還前に債券価格を評価する場合、債券価格は信用リスク(クレジットリスク)の変化によって時価変動するため、基本的にはリスク資産に分類されます。



ナシーム・ニコラス・タレブの定義

ナシーム・ニコラス・タレブは、ブラックスワンは予測不能であり、起こった場合のインパクトが大きく後付けで説明されてわかったるもりになる、という特徴を持っているとしています。タレブは、投資に関して、従来の金融工学の確率論をベースに不確実性をコントロールしようとする考え方を批判しており、偶然がもたらす影響を重視すべきであると主張しています。



ブラックスワンイベントが起こると?

投資家は先行き不透明な状況に恐怖を感じるため、金融市場でブラックスワンイベントが起こると、相場が大きく変動しやすくなります。事前に誰もそれを予測していなかったためショック的な動きにつながり、変動幅が大きくなりやすくなるのです。一旦ブラックスワンイベントが起こると、投資家は資産を守るためにリスクオフ状況になり、株式などのリスク資産(危険資産)は売られやすくなり、安全資産に資金が向かいやすくなります。この場合、リスクオフの状況は先行きが見通せる状況になるまで続きやすいのが一般的です。


リスクオフとは

リスクオフとは、経済成長や企業の業績の先行き不安が高まったり、地政学リスクが高まった際に、投資家が株式や新興国通貨など値動きの大きいリスク資産を手放して、比較的安全資産とされている国債などに資金を振り替える動きのことです。


地政学リスク

地政学リスク(ちせいがくりすく)とは、特定地域の政治・軍事・社会的緊張で、特定地域の経済や世界経済の先行きの不確実性が高まる状態・リスクのことです。地政学リスクが高まれば、投資家心理を悪化させ、企業の投資活動が消極的になる可能性があります。地政学リスクは、イラク情勢が悪化した際にFRB(連邦準備制度理事会)FOMC(連邦公開市場委員会)の声明文で、米国のイラク攻撃という地政学リスクの経済への悪影響を指摘したことをキッカケとして使われるようになりました。地政学リスクが実際に顕在化すれば、投資家はリスク資産の株式などを手放す動きが出やすくなります。



スキュー指数の推移(チャート含む)

ブラックスワンやテールリスクが起こる可能性を示す指標に「スキュー指数 」があります。スキュー指数の推移は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで確認することができます。



動画で解説ーYouTube−





グリーンスワンとの違い

ブラックスワンと似た金融用語に「グリーンスワン(緑の白鳥)」があります。ブラックスワンとの違い等の解説は以下を参照してください。









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