株式市場は為替の動向にも大きな影響を受けます。ただ、その影響に関しては経済環境や金融政策によって変化するものですので、規則性は見つけにくいものです。円高で株安になることもありますし、株高になることもあります。円安で株高になることもありますし、株安になることもあります。その原因は、その時点で日本経済に国際競争力があるかどうかで左右されますし、金融政策の動向にも左右されますので株式と為替の規則性を一概に単純化することはできません。
為替の動向だけに限って見てみても、時に政府による為替介入などもあり、相場の規則性は見つけにくいものです。為替市場は株式市場に比べ圧倒的に大きな市場ですので、為替市場に参加する投資家の数も圧倒的に多いです。そのため、ボックス相場になれば長期間ボックス圏内から抜け出さないこともありますし、トレンドが出ると一気にオーバーシュート(相場が行き過ぎる現象)しやすい性質もあります。また、オーバーシュートしやすい性質があることから、時に政府による為替介入もあります。為替介入によって相場のトレンドが崩れることもありますし、為替介入の影響は一時的でトレンドを止めるだけの力がないこともありますので、為替の動向を予測するのは非常に難解です。世界有数のヘッジファンドのオーナーであるジョン・W・ヘンリー氏や、世界最高の株式投資家として有名なウォーレン・バフェット氏も、為替で巨額の損失を出しています。
それらのことから、為替相場の動向、規則性は見つけにくいものですが、通貨を売ったり買ったりするには、それなりの理由があるものです。例えば、経済力の大きな国の通貨ほど買われやすくなりますし、経済力の小さな通貨ほど売られやすくなります。また、日本で金融緩和があれば通貨量が増えるので円安に振れますし、金融引き締めがあれば円高に振れやすくなります。そういった為替相場を動かす基本的な要因をしっかり把握しておけば、今なぜ円高に振れているのかor円安に振れているのかが掴みやすくなります。為替の動向が少しでも理解できるようになれば株式投資にとって有益となりますので、為替の知識はしっかり身につけておきましょう。
さて、世界の三大通貨と言えば、米ドル、ユーロ、日本円です。その中で世界の通貨売買高の半分近くを占めるのは、基軸通貨である米ドルです(基軸通貨とは、世界中の貿易や資本取引で主に使われ、また、各国の外貨準備として保有される通貨のことです)。基軸通貨である米ドルは、それに関連する情報がどの通貨よりも多く、また、ドル円に関する基礎知識を身につけておけば他の通貨の動向を把握する際にも応用できることから、当サイトではドル円を中心に解説を進めたいと思います。
ここまで為替について、少し難しい説明をしました。よくわからないことも多いかもしれませんが、次ページ以降、為替の基礎知識から順に解説していきますので、為替についての理解を深めて株式投資に活用できるようになりましょう。
ドル/円・ユーロ/円・ユーロ/ドルの推移
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