累進課税によって高所得者からお金をたくさんとって社会保障の形で低所得者や失業者に回せば、消費性向が上がって貯蓄性向が下がり、景気対策となるのですが、さらに企業がお金を使って新事業の展開に積極的になれば、設備投資が増えてモノが売れるようになり、雇用が増えて消費が増えるので、景気にとってはプラスになります。
では、どうすれば企業がお金を使うようになるのか・・・
ここでケインズは、合理的経済人に着目しました。
合理的経済人とは、お金が好きだからお金を大切に合理的に使う人ということです。みんなこの合理的経済人に当てはまることが多く、合理的にお金を使いながらみんなお金は増やしたいものだ、みんなお金が好きだ、とケインズは考えました。これを
お金には流動性があります。流動性とは、すぐに他のモノにかえられる、すぐに好きなモノが買えるということで、例えば土地や建物であれば、すぐ他のモノにかえることは難しいです。土地や建物は財産にはなりますが、すぐ売れるモノではありません。こういったも
のは”流動性選好がない”と言います。お金はすぐ他のモノにかえられるので「流動性選好がある」と言います。
さて、そんな流動性選好があるお金を、企業はどんな時に使いたくなるのでしょうか?
通常、お金は安全な形で保管しておき、使いたい時にすぐ取り出せるようにしておきたいものです。それは企業も同じで、通常、お金は銀行に預けておきます。銀行に預けておけば利子もつくので、お金を増やしたい、という思いも達成できるのです。
ですが、銀行にお金を預けておくよりもっと利益が生まれる事業があれば、企業はそちらに投資するだろうとケインズは考えました。さらに銀行の利子率を下げてしまえば、その動きはより大きくなるだろうと考えたので す。銀行に預けていてもほとんど利子がつかないのであれば、企業は新しい事業への投資を増やす、ということです。現在では、景気が悪くなれば中央銀行(日本銀行)が金利を下げて景気対策しますが、それはこういった理屈が土台となっています。
ただ、金利をゼロ近くまで下げても、企業は新しい事業への投資をしなくなることが起きました。それを”流動性の罠”と言います。その解説は次ページで。
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