震災の後、通常であれば日本経済の低下が見込まれ、円は価値が下がって円安になるはずなのに、円は円高に進みました。 |
投資家は、投資対象としてその国の通貨がどの程度売買しやすい通貨であるかということを重要視しています。投資対象として投資家が良いなと思うのは、流動性(売買が活発に行われていていつでも売買できる)が高くて信用のある通貨であるということです。特に、投資家は流動性を重要視します。というのも、投資というのはリスクが伴う行為ですので、何かリスク要因が発生した時にすぐ反対売買をして逃げれるかどうかが重要となるのです。よって、流動性の高い通貨が投資家にとって売買しやすい通貨となります。そういった観点から、世界の投資家にとって売買しやすい通貨というのは、1位:米ドル、2位:ユーロ、3位:円となります。
日本で震災が起こる前、米国ではリーマンショックがあって、米ドルは信用をなくしていました。世界の投資家 は、流動性が高くて信用力のあった米ドルの価値が下がってしまったので、次に流動性が高くて信用力のあるユーロに乗り換えていました。しかし、その後、 ユーロ圏のギリシャが財政赤字を隠していた、ということが発覚し、ユーロの信用力が低下したのです。ゆえに、次に流動性が高くて信用力のある円を買わざるを得ない状況となっていたのです。
日本で震災が起こったので、世界の投資家は「日本の保険会社は保険金を支払うための資金が必要になって、保険会社が世界に保有している資産を売って円に換えるのではないか?」と考えました。
「そうなれば、日本の保険会社は米ドルやユーロを売って円を買うので円高になるな、じゃあその前に円を買っておいて儲けよう」と考え、世界の投資家は円を買ったのです(円高へ)。
ただ、実際には、日本の保険会社は震災によって生じた保険金の支払いは手元資金で補えています。それだけ日本の保険会社はお金を持っていたのです・・・しかし、投資家のそういった予想によって円は円高となったのです。
日本の企業は、相対的に世界に膨大な資産を持っています。世界中の株式も持っているので、毎年、莫大な配当金も入ってきます。世界からすると、日本企業は非常に豊かなのです。それは世界の投資家が知っているので、非常時に円が買われやすくなっています。
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