流動性の罠(読み方:りゅうどうせいのわな|英語:liquidity trap)とは、中央銀行が金利をゼロ近くまで下げる金融政策をとっているのに、企業の投資が伸びず、景気がよくならないことを言います。金利がゼロ近いということは、企業は銀行にお金を預けていても利子率が低くてお金が増えませんので、企業は新事業に投資して利益を出そうとするのですが、その投資が伸びない・・・
なぜか・・・
企業は新事業などに投資する際、その投資先でちゃんと利益が出せるのか、不透明な状態であれば投資はしないのです。これを”流動性の罠”と言ってケインズは指摘していました。”流動性の罠は起こり得る”と。
ただ、ケインズの時代にはこういったことは起こらなかったので、ケインズはあくまで推定として”流動性の罠は起こり得る”としていました。
が、実際、日本はこの流動性の罠にかかってしまいました。金利がゼロ近くても企業の投資が伸びない事態となってしまったのです。金利がゼロ近くても景気が回復しない・・・流動性の罠から抜け出すには、将来への不透明感を払拭しなければなりません。そのために景気対策をしなければなりませんし、有望な産業をつくり出すことも必要となります。
日本が流動性の罠にかかったキッカケは、バブルの崩壊です。
バブルの崩壊で、バブルの後始末に10年以上かかり、将来への不透明感が増し、企業は新事業に乗り出すのに臆病となってしまったのです。また、その間に経済はグローバル化し、世界の景気の影響も受けやすくなったので、日本だけを見て景気対策をするのは不十分となってしまい、流動性の罠から抜け出すのがさらに難しくなってしまったのです。
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