金融危機をわかりやすく解説
金融危機(きんゆうきき)とは、金融機関(金融サービスを専業的に提供する機関。銀行や信用金庫、証券会社、保険会社、消費者金融、カード会社などがそれにあたります)が、債務超過に陥ったり、経営が悪化して預金の取り付けや短期金融市場での資金調達が困難になどなどして資金繰りができなくなって破綻する、あるいは破綻までいたらなくても融資が減少するなど信用収縮が起こって実態経済に多大な影響を与えるような状態のことをいいます。1927年の金融恐慌や、1929年の世界大恐慌、1982年のメキシコ金融危機、1990年代の山一證券や北海道拓殖銀行の破綻、2008年のリーマンショックなどがそれにあたります。
金融危機は、中央銀行が資金供給や低金利政策を行って、市中の貨幣量を増やして市中の購買力を高め、モノや金融商品など資産価格が過度に上昇する状態が続くなどして信用膨張が続いた後(バブルの後)、それを抑えるために中央銀行が金融引き締め(利上げなど)を行うなど、何らかの原因がキッカケとなって状況が一変して信用収縮が起こります。信用収縮が起これば、金融機関は不良債権が増えて債務超過に陥ったり、資金繰りが悪化して実体経済に深刻なダメージを与えます。これが金融危機です。大手銀行がそのような状態になれば経済に与える影響が大きくなりますので、政府が公的資金を投入するケースが多いですが、政府債務が増加してしまうため、財政危機に陥る可能性が出てきます。
債務超過とは
債務超過(さいむちょうか)とは、債務者(借金をしている人)の負債総額が資産総額を超える状態です。つまり、資産をすべて売却しても負債を返せない状態のことをいいます。
債務超過に陥った企業は自己資本がマイナスとなりますので、破産手続き開始の原因となり、いつ倒産してもおかしくない状態になります。資産をすべて売却しても負債が返せない、つまり企業を清算しても残る資産がありませんので、株主の取り分がない状態ともいえます。金融機関が債務超過に陥れば、新規の融資ができないとしていることが多いです。融資に関しては、金融機関は自己資本より総資産(自己資本+少数株主持ち分)を指標としている場合もあります。
短期金融市場
短期金融市場(たんききんゆうしじょう)とは、金融機関が、営業活動において一時的に生じるか不足資金を相互に融通し合う市場です。以下の条件を満たす資金取引の市場がそれにあたります。
- 1年未満の取引期間
- 市場型の取引形態
- 自由金利
- 広範な市場参加者がいる
信用膨張から信用収縮までの流れ
バブルとは、株式や債券などの金融商品や不動産などの資産価格が投機によって高騰し、実体経済からかけ離れて上昇することをいいます。バブルは多くの場合で信用膨張(しんようぼうちょう)を伴います。中央銀行による大規模な資金供給や低金利政策で市中の貨幣量が増え、人々の購買力が高まって資産価格が上昇することを信用膨張といいますが、信用膨張が起こればファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)からかけ離れた資産価格の上昇が起こるため、中央銀行はそれを抑えるために金融引き締めを行いますが、それをキッカケとして信用膨張の動きが止まり、それまでとは逆の動き「信用収縮(しんようしゅうしゅく)」へと転じます。信用収縮が起これば投機の動きが急速になくなり、市場価格は下落し始め、多くの資産価格は下落します。この時、リスク資産は急落しやすいことから、これを「バブルの崩壊」ということが多いです。
恐慌とは
恐慌(きょうこう)とは、金融の縮小が急激で大規模に進行することです。景気後退すれば、生産、雇用、所得が減少し経済が縮小しますが、それが急激かつ大規模に進行することをいいます。
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