FRBとは
FRB(読み方:えふあーるびー|英語:Federal Reserve Board|意味:連邦準備制度理事会)とは、1913年の連邦準備法を根拠法としてワシントンに設立された米国(アメリカ)の中央銀行制度の中枢機関のことです。FRBの主な任務は、連邦準備銀行および市中銀行の監督、FOMC(連邦公開市場委員会)を通じた金融政策決定の主導などで、中枢機関としての役割を果たします。
FRBの構成と理事の任期
FRBは、米議会上院の承認を受けて米国大統領が任命する7人の理事で構成されています。議長1名、副議長1名を含む7人の理事で構成されており、7人の理事の任期は14年、その中から議長と副議長が4年の任期で任命されます。
中央銀行制度とは
日本の中央銀行と言えば「日本銀行」ですが、米国の場合は、国土が広く、州ごとの独立性も高いため、複数の組織が分担して中央銀行の役割を果たしています。この米国独特の中央銀行制度を「FRS(連邦準備制度)」といいます(以下で解説します)。
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連邦準備法の解説
連邦準備法(れんぽうじゅんびほう)とは、1913年に米国(アメリカ)で成立したFRS(連邦準備制度)の根拠となる法律です。
FRSは、FRBによって運営されている独立機関で、全国の主要都市の連邦準備銀行とその支店で構成されています。連邦法銀行(米国の通貨監督官によって設立が許可されている商業銀行)と、州法銀行(いずれかの州における規制当局から免許を得ている銀行)も加盟しています。FRSは独立機関ですが、FRSの理事は米国大統領が任命します。
FRSの主な機能は以下。
- マネーストック(通貨供給量)の調節
- 加盟銀行の支払準備率(対象となる金融機関が預金の一定比率以上の金額を無利子で中央銀行に預け入れる比率)の設定
- 銀行制度全体の資金決済機関
- 加盟銀行のFRS規則遵守検査
- 貨幣鋳造の監督
連邦準備法が成立するまで、米国では中央銀行に相当する機関がありませんでしたが、当法律が成立して12の連邦準備銀行(地区連邦準備銀行)が設けられました。
連邦準備銀行の解説
連邦準備銀行(れんぽうじゅんびぎんこう)とは、FRS(連邦準備制度)を構成する全米の12の銀行です。それぞれの連邦準備銀行は、FRBの規定に従って、管轄する地域の商業銀行や貯蓄銀行を監督し、緊急の資金供給や振替機関としても役割・送金などのサービスを提供するなどの役割があります。12の連邦準備銀行の所在地は以下。
- NY(ニューヨーク)
- フィラデルフィア
- ボストン
- クリーブランド
- リッチモンド
- シカゴ
- アトランタ
- セントルイス
- カンザスシティ
- ミネアポリス
- ダラス
- サンフランシスコ
これら12の連邦準備銀行の中でニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)が中心的な役割を担っています。
中央銀行の解説
中央銀行(ちゅうおうぎんこう)とは、その国の金融機構の中核となる銀行です。米国ではFRS(連邦準備制度)がそれにあたり、日本では日本銀行、EU諸国ではECB(欧州中央銀行)がそれにあたります。厳密には、米国は単一組織としての中央銀行はなく、FRSが中央銀行制度として存在しています。
中央銀行には、通貨を発行する「発券銀行」、民間の金融機関とのお金の貸し借りを行う「銀行の銀行」、政府のお金を管理する「政府の銀行」の3つの役割を担っています。
また、それらに加えて、市場で通貨量を調節する「公開市場操作(オペレーション)」をはじめとした金融政策を行って、経済を円滑にし、公共の利益を擁護する業務に従事する機能を果たす金融機関です。
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FRBの役割
FRBは米国の中央銀行的業務を行い、金融政策の策定や実施、米国の主要都市に設立されている12の地区連邦準備銀行(Federal Reserve
Bank)を総括する役割があります。FRBは年8回、FOMC(連邦公開市場委員会)を開いて米国の金融政策を決定します。経済大国である米国の金融政策は、世界経済に大きな影響を与えることから、議長・副議長、また理事の発言や金融政策は世界中から注目されています。
FRBは日本の中央銀行である日本銀行に相当する機関ですが、厳密に言えば米国には中央銀行はなく、12の地区連邦準備銀行は独立しているため、それを監督する機関がFRBです。
公開市場操作(オペレーション)の解説
公開市場操作(OMO/Open Market Operation)とは、単に「オペレーション」とも呼ばれる、中央銀行が一般公開の市場(オープンマーケット)で、通貨量を調節する金融政策です。
買いオペレーション(国債の買いオペ)とは
市場の通貨供給が逼迫している場合は「買いオペレーション(買いオペ)」を行います。これは、市場の有価証券や手形を中央銀行が買い取って、市場に資金供給をする金融緩和策です。
買いオペレーションのうち、民間の金融機関から国債を買い入れて市場の通貨量を増やす公開市場操作を「国債の買いオペ」といいます。市場の通貨量が増えますので、金利低下要因となります。これは、景気低迷時や、銀行の資金供給量が少なくなった場合に行われます。
売りオペレーション(国債の売りオペ)とは
市場の通貨量が余剰している場合は「売りオペレーション(売りオペ)」を行います。これは、中央銀行が有価証券や手形を売却して、市場から通貨を中央銀行に還流させる金融引き締め策です。
売りオペレーションのうち、民間の金融機関に国債を売って、市場の通貨量を減らす公開市場操作を「国債の売りオペ」といいます。市場の通貨量が減りますので、金利上昇要因となります。
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FRBの公開市場操作(オペレーション)の実施
FRBによる公開市場操作(オペレーション)は、連邦準備銀行の一つであるNY連銀(ニューヨーク連邦準備銀行)が行っています。厳密には、FOMCからの指示を受けてNY連銀の公開市場取引デスク(Open
Market Trading Desk)が実施しています。
SOMAとは(仕組みと資産・その規模について)
SOMA(システムオープンマーケットアカウント)とは、連邦準備制度の公開市場操作用の口座です。簡単に言うと、公開市場操作(オペレーション)は、FOMCからの指示を受けてNY連銀が実施していますが、公開市場操作を通じて取得した証券(債券など)資産を管理する口座がSOMAです。このSOMAは、NY連銀が管理しています。公開市場操作の取引記録はSOMAに記帳されており、NY連銀のSOMAの責任者がFOMCメンバーに報告しています。
SOMAの資産(証券)には、国内(米国)証券と外貨ポートフォリオの両方が含まれており、国内部分はドル建ての財務省証券(米国債)で構成され、外貨部分は日本円やユーロなど様々な投資で構成されています。
FRBは、SOMAの資産(証券)を売買して市場の流動性を調整していますが、その資産は流動性の必要がある緊急事態で使用され、連邦準備制度のバランスシート上の負債の担保として機能している、という位置づけになっています。SOMAの資産は、NY連銀のサイトで毎週公表されています。
FRBは、リーマンショック以降、経済を刺激するために、大量の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を購入しており、2017年時点でSOMAが保有している債券は4兆ドルを超えています。このうち、国債は約2.3兆ドル、住宅ローン担保証券は約1.8兆ドルとなっています。
FRBの保有資産(バランスシート)拡大・縮小
「FRBのバランスシート拡大・縮小」「FRBの保有資産の拡大・縮小」と言う場合、上記のSOMAを拡大・縮小させることを意味しています。
FRBの保有資産(バランスシート)の推移(チャート含む)
FRBのバランスシートの推移は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで確認することができます。
FRBが保有している米国債(米財務省証券)
FRBが保有している米国債の推移は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで確認することができます。
POMO(恒久的公開市場操作)とは
POMO(読み方:ポモ)とは、「恒久的公開市場操作」と呼ばれる、SOMAの証券の売買です。SOMAが保有する証券の売買を意味します。具体的には、NY連銀と金融機関の間で行われるSOMAの証券の売買がPOMOです。POMOは、FRBがNY連銀を通じて金融機関から証券を買い入れる資金供給策となっています。
公開市場操作(OMO)とPOMOの違い
公開市場操作(OMO)は、中央銀行が市場で証券を売買することを指します。つまり、中央銀行が国債を売買して、民間の金融機関の流動性の高低を調節するもので、短期金利とベースマネーの供給を操作することが目的です。連邦準備制度における証券の売買は、米国の銀行システムで利用できる準備金を恒久的に増減できます。POMOは、一時的な公開市場操作とは逆で、一時的な銀行システムで利用できる準備金を増減させるためのツールで、これにより連邦資金率に影響を与えることができます。
公開市場操作は、FOMCの指示を受けてNY連銀が実施しますが、公開市場操作はクレジット量に大きく影響します。連邦準備制度が民間の金融機関から証券を買い入れれば、銀行システムの流動性を高めることができ、金利が下がります。連邦準備制度に証券を売却して収益を得た金融機関は、それを融資目的で使用することができるので、国の経済活動を刺激する効果が見込まれます。逆に、連邦準備制度が金融機関に証券を販売すれば、銀行システムの流動性は低下し、銀行は貸し出す資金が少なくなって、国の経済活動にブレーキをかける効果が見込まれます。
動画で解説ーYouTube−
米国債利回り・FF金利の予想分布などの推移
米国債利回りや「FF金利(FFレート)の予想分布(ドットチャートより)」などは、姉妹サイト「株式マーケットデータ」で確認することができます。
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