損益計算書の「利益」にあたる「売上総利益」を解説します。損益計算書の「利益」の項目に含まれる5つの利益は非常に重要ですので、しっかり把握しておきましょう。
ー損益計算書の構成表ー
売上総利益とは
売上総利益(読み方:うりあげそうりえき|英語:gross profit)とは、売上高から売上原価(棚卸資産含む)を引いたもので「粗利益(あらりえき)」とも呼ばれます。略して「粗利(あらり)」とも呼ばれます。売上総利益がマイナス(赤字)になることを「売上総損失(うりあげそうそんしつ)」といいます。
|
売上総利益の計算式
売上総利益率とは
売上総利益率(読み方:うりあげそうりえきりつ|英語:gross profit margin)とは、「売上高総利益率(うりあげだかそうりえきりつ)」や「粗利益率(あらりえきりつ)」、「粗利率(あらりりつ)」とも呼ばれる、売上高に対する売上総利益の割合です。売上総利益率は、その企業の製品やサービスの力を判断するための指標で、その企業の収益性を評価する指標です。
売上総利益率の計算式
売上総利益率(%)=売上総利益/売上高×100
|
売上総利益率は高い方がいい
売上総利益は、売上高から仕入れ値である売上原価を差し引いた金額です。販売経費などを差し引く前の利益ですので、端的に利益状況をつかむのに適しています。
売上総利益率は儲ける力を把握するための経営指標で、売上総利益率は高い方がいいです。売上総利益率が高いということは、安く仕入れて高く売っていることを示しますので、効率的な事業運営を行っていると判断できます。高いほど利益を生み出しやすい体質と言えます。売上総利益率は、業種によって標準的な水準が異なりますので、同業他社の売上総利益率と比較したり、過去の売上総利益率の推移をみて企業の実力を判断しましょう。
企業が売上総利益率を上げるには、売値を上げるか売上原価の低減を行うか、販売費及び一般管理費の削減を行う必要があります。
売上総利益率が低い
売上総利益率が低いということは、売上高にしめるコストが高く、商品を売っても利益が少ないことを示しています。売上高を多くして、経費削減しなければ、業績が悪化すればすぐに赤字に転落する可能性があります。
売上総利益率の目安(水準)と見方
売上総利益率は、製造業では22%から25%が普通です。卸売では20%から30%程度、小売では30%から40%程度、製薬業で60%程度が普通です。ただし、売上総利益率は企業の体制で大きく変わります。プライベートブランドの多い企業では、利益率が高く売上高が低くなるため、プライベートブランドの少ない企業とでは、売上総利益率は大きく変わってきます。よって企業の経営体制を加味して判断しなければなりません。
売上総利益率は、売上高同様に、他業種間で比較しても意味はなく、同業種間で比較して見る必要があります。例えば、製品やサービスがよく人気があれば同業他社より売上総利益率が高くなりますし、付加価値が高い製品を取り扱っていても売上総利益率は高くなります。つまり、売上総利益率の高さを見れば、その企業の競争率が高いかどうかがわかります。売上総利益率が高ければ、競争率が高いことを示します。
関連記事
関連記事2
|