世界的な景気減速が懸念されると、世界の投資家は一斉にリスク資産(危険資産)を減らし始めます。景気に連動する株式や資源、社債や米国の低格付け債であるハイイールド債、新興国の国債などのリスク資産は売り込まれ、金や先進国の国債、とりわけ米国債などの安全資産に資金が移ります。また、外国為替市場で安全通貨として認識されている日本円も買われやすくなり、円高圧力も高まります。そして、金融商品から一旦資金を現金化しておく動きも広がります。
景気に敏感に連動し、リスク資産である株が売り込まれる局面では、投資家の心理は一気に悪化し、投資家の心理を表す恐怖指数”VIX指数”や”日経VI”は急激に上昇、リスク資産への警戒感はより一層高まります。
リスク資産である金融商品は、その価格がオーバーシュート(行き過ぎ)しやすい性質があります。リスク資産は、概ね将来への期待感で買われる癖があるのでオーバーシュートするのですが、一転、売られる局面に入ると、今度は逆に売りの方向へオーバーシュートしやすくなります。要するに、より売り込まれる展開になります。期待感で買われていたリスク資産は、その期待感が剥げ落ちると買う理由がなくなりますので、買いが入らず、売りが売りを呼ぶ展開となります。
こういった場合、まずは早急にリスク資産(株など)を現金化すべきです。リスク資産は自分が思っているよりさらに下がるものですし、一度下降トレンドが発生すると相場転換しにくく、余程の力がなければV字は滅多にありません。早急に現金化しておけば相場が底を打った時に買い向かうことができるので、まずは現金化して資産を守ることを考えましょう。
※日経VIやVIX指数は、当サイトの姉妹サイト「株式マーケットデータ」でその推移が確認できます。
景気減速時の流れ
景気の減速が懸念され始めると、まずは株が反応します。株安となって相場が混乱し、売りが加速します。次にその国の通貨が売られやすくなり、経済がより深刻化。次にその国の経済対策に国民の不満が高まり、政権が脅かされる事態に発展しやすくなります。
景気が減速する局面では、概ねこの3段階のステップを踏むのが基本となります。
この3段階のステップのうち、どの時点で国による経済対策、金融政策が打たれるかが注目のポイントです。
そして、その経済対策、金融政策の内容はどのようなものか、それは景気の上昇に機能するのかを慎重に判断し、株価がその経済対策や金融政策にどのような反応を示すかを見れば、相場の今後の動向が読みやすくなります。
とにかく、景気減速時には保有株などはまずは現金化しておきましょう。現金化しておけば、経済対策や金融政策で相場が転換する時に安値で仕込むことができます。
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