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PER(株価収益率)

PER(株価収益率)


PERとは

PER(読み方:ぴーいーあーる・「パー」と読む場合もある|英語:Price Earnings Ratio)とは、「株価収益率」と呼ばれる、株価EPS(1株当たり利益)で割って計算される株価指標です。


PER(倍)=株価/EPS(一株当たり利益)



PERの見方

PERは、その株式がEPS(1株当たり利益)の何倍まで買われているかを示しており、現在の株価が割安なのか割高なのかを判断する材料として使われます。バリュエーションを計る指標の一つです。PERは、株価をEPSで割って計算されていますので、PERが高いほど株価は割高で、PERが低いほど株価は割安であることを示しています。


例えば、ある銘柄の株価が現在1000円で、EPSが50円であったとします。その場合、1000円/50円でPERは20倍ということになります。PERが20倍ということは、EPS(一株当たり利益)がそのまま20年継続すると、その株式を購入する時に支払ったお金が回収されるということも意味します。

株価が同じ1000円で推移していたとして、例えば、その銘柄のEPSが80円に上がったとしたら、1000円/80円でPER12.5倍となります。この場合、PERが20倍であった以前に比べて株価は割安になったと判断できます。もし株価が以前のPER20倍にまで戻るとするならば、株価はここから1600円まで上昇するはずです。PERを見て投資する場合は、そういったことに注意して株価の上昇・下落を予測します。




PERは予想PERを使う?実績PERを使う?どっち?

株価は将来の業績を予測して動くため、PERの計算式のEPS(一株当たり利益)は予想値を使うのが基本です。実績値はあくまで過去の実績ですので有用とは言えません。つまり、「実績PER」でなく「予想PER」を見て判断するのが基本です。実績値を使って計算しているサイトやトレードツールもありますので、しっかり確認しておきましょう。ただし、実績PERは、過去の「実績」の裏付けがありますので、株価の上値・下値のメドを予測する際に用いるのが一般的です。




PERが低くても割安でない理由・PERが高くても割高でない理由

PERは、EPS(一株当たり利益)を使って計算しますが、この一株当たり利益が”同水準で今後続く場合”に、株価が割安か割高かを判断する指標です。ただ、利益が同水準で今後続いていくかわかりませんし、成長企業であれば、利益はどんどん上がっていくでしょうし、業績悪化で利益がどんどん下がる企業もあります。ゆえに、いくらPERが割高でも、今後の成長次第では現時点のPERが割安にもなりますし、いくらPERが割安でも、今後の業績次第では現時点のPERが割高にもなります。

つまり、将来の利益の見込みを加味する必要があります。今後、景気が悪化すると市場が判断してているような局面では業績悪化が見込まれますので、PERが割安でも買われないことがありますし、今後の高成長を市場が見込んでいるのなら、PERが割高でも買われることがあります。PERは、上記の解説のように予想PERを使うのが基本ですが、その予想より悪くなると市場が考えていれば割安でも買われませんし、予想より高成長と市場が考えていれば割高でも買われます。




PERに妥当な水準はない・その目安

PERは、あくまでも相対的なものなので、何倍が妥当な水準であるかといった基準はありません。PERの妥当な水準は、その時々のマーケットの環境によって変わるものです。ゆえに、PERの数字だけを見て20倍以下なら割安だ!というような判断は正しくないです。PERが20倍以下なら割安だ!と言われていた時代もあれば、16倍以上なら割高だ!と言われる時代もあるのです。また、PERは業種や個々の銘柄によって妥当な水準は違うものなので注意が必要です。

そもそもPERというのは、かなり曖昧な株価指標です。PERとは、その株式がEPS(1株当たり利益)の何倍まで買われているかを示す株価指標なのですが、なぜEPSの何倍かの価値を株式市場に参加する投資家は、その株式につけるのでしょうか?企業が利益のうちから出す配当を上げれば配当利回りが上がるので、PERが低ければ割安!と判断されることもありますが、企業の利益は一定程度、留保金などに回しておかなければ、いざという時に経営が困難になりますので、配当とPERの関係を基準に判断するのは、それ相応の土台となるものが必要となります。また、PERの基準は投資家のコンセンサスと言うことができますが、投資家がEPSの何倍かの価値をつけるには、それ相応の土台となるものが必要となるのです。

株式だけでなく、金融商品全般に言えることですが、金融商品全般の土台となっているものは「信用」です。信用があるから投資家は金融商品に大事なお金を投資することができるのです。信用のないものに何倍かの価値を投資家がつけるわけはありませんので、PERの土台も投資家の信用であるということができます。

ただ、「信用」というのは、かなり曖昧なものです。何か大きな悪材料が出て、金融商品に対する「信用」がなくなれば、投資家は容赦なくその金融商品を売ることとなります。それは、リーマンショックがいい例です。リーマンショックの時はCDSという市場が大きくクラッシュしたことにより、金融市場全体に大きな影響がでることとなりましたが、CDSという市場は、そもそも信用リスクを取引している市場です。リーマンショックは、リーマン・ブラザーズという投資銀行が破綻したことがフォーカスされましたが、金融市場ではCDSのクラッシュがフォーカスされていました。

CDSのクラッシュとは、信用の崩壊と言うことができます。投資家が金融商品に対して持っている信用が崩壊したのです。信用のできないものには誰も投資をしません。リーマンショックでは、金融商品に対する信用が崩壊することとなったので、世界の金融市場でショック的な動きが出たのです。
もし、保有している株式に信用がなくなるような悪材料が出てしまえば、信用という土台を失ったPERの水準も全くアテにならなくなります。ゆえに、PERの水準をアテにした投資というのは、いざという時に機能しなくなりますし、そもそも信用が土台となっている曖昧な株価指標であるということを念頭において見なければならない指標です。




PERが極端に低い銘柄に注意!

個々の銘柄に関しては、PERが極端に低いものは注意が必要です。
PERが極端に低い銘柄は、特別利益(土地の売却等)によって一時的に当期純利益が増えているケースが多いです。PERの計算式にあるEPSは、当期純利益をもとに計算していますので、一時的な特別利益によってEPSが引上げられている可能性があり、本業は儲かっていない可能性があります。PER6倍以下の銘柄は、そういったことが考えられますので注意が必要です。そして、そもそもですが、PERはEPSをもとに計算されますので、赤字企業は算出できません。また、利益の変動が激しい企業はPERの変動も激しいため、業績が安定して黒字を計上している企業でないとPERによる株価の評価は難しいため使えない指標となります。




PERの使い方

PERの使い方を1つご紹介すると、PERはレンジ(幅)で判断するやり方があります。

例えば、ある銘柄の相場を一定期間見ていたら、「PERが13倍あたりになったら買われやすくなって、PERが16倍あたりまで上がったら売られやすくなるぞ・・・」といったレンジ(幅)を確認できることがあります。

その場合、PERが13倍になれば割安だと判断して買い向かう投資家が多いということですし、PERが16倍になれば割高だと判断して売り向かう投資家が多いということですので、PERが13倍になった時に買い、PERが16倍になったら売る、という投資判断ができます。ただし、先ほども述べましたが、PERは何倍が妥当な水準であるかという尺度はありません。ですから、今までPERが13倍から16倍のレンジで推移していたのに、突然、11倍から13倍にレンジが変わったり、16倍から20倍にレンジが変わったりしますので注意が必要です。

もう1つ、PERで注意すべきことは、PERはEPSの増減によっても値が変わってきますので、成長性が高くEPSの変化率が高いような銘柄の場合は、PERが極端に高くなることがあります。「業績がよくて次の決算でEPSがさらに上がるだろうから、今のPERは割安だ、まだ買えるぞ!」と思う投資家が買い向かっていたり、株価が上がっているから買ってみよう、という投資家たちが株価を上げ、PERを押し上げている状態と言えます。この場合、実際の業績に見合わないぐらいにまで、株価やPERが上昇していることがありますので注意が必要です。

逆に、株価は期待で上がる特性がありますので、PERが高くても買われることもあります。また、業績が低迷していた銘柄の業績に回復の兆しが出てきた時などは、株価はそれを先行して織り込んでいこうとするので、PERは高くなることが多いです。これは、国全体にも同様のことが言えます。例えば、日本のGDPが上昇してきたら、日本の成長に期待して日経平均株価のPERは高くなりやすいです。

PERの水準は、同業他社と比べると、業界の妥当なPER水準が判断しやすいです。逆にいうと、業界や業種によって妥当なPERの水準が違うと言えます。銘柄のPERを見る際には、同業他社のPERもチェックするようにしましょう。




ー過去10年の日経平均のPERー

過去10年の日経平均株価のPERの増減を簡単にご紹介します。過去10年の日経平均株価のPERは、ノーマルな時は20倍程度、高い時で30倍程度、低い時は12倍程度の時がありました。ちなみに、日経平均株価にもPERがあるのです。日経平均株価とは、東証一部に上場する約1700社の中の主要225銘柄の平均のことなので、日経平均株価のPERとは、225銘柄のPERの平均ということになります。この水準は、あくまで日経平均株価の過去10年のPERですので、個別銘柄には当てはまりません。




日経平均株価のPERの推移

日経平均株価のPERの推移(過去分を含む)は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで確認することができます。


日本のPERの推移

日本の各市場のPERの推移は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで確認することができます。


米国(アメリカ)のPERの推移

米国の主要株価指数ののPERの推移は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで確認することができます。



:姉妹サイト「株式投資大百科」の解説ページ

:姉妹サイト「投資戦略」の解説ページ



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