ROEとは
ROE(読み方:あーるおーいー|英語:Return On Equity)とは、「自己資本利益率(じこしほんりえきりつ)」もしくは「株主資本利益率(かぶぬししほんりえきりつ)」と呼ばれる、当期純利益を自己資本で割って計算される指標です。企業の収益性を見てバリュエーションを計る指標の一つです。
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日本と米国のROEの推移とチャート
日本と米国の各市場別のROEの推移は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで掲載しています。
ROEの計算式
ROE(%)=(当期純利益/自己資本(純資産))×100
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もしくは、EPS(1株当たり利益)をBPS(1株当たり純資産)で割って計算します。
数値は何を使う?
ROEの計算式の自己資本は、期首・期末平均の数値を用いることが多いですが、使用目的によっては期首や期末の数値を用いることもあります。
ROEの見方
自己資本(純資産)は、株主が投資した資本(事業をするのに必要な基金)です。ROEとは、この自己資本に対して企業がどれだけ利益を生み出しているかを示しています。つまり、企業が株主から集めたお金の運用状況の効率性を見る指標です。企業は利益の中から配当を出しますので、ROEは企業の収益力や配当能力を測定する指標として使われます。
ROEの数値は、高ければ株主の資本を有効に使っていると判断されますし、株主還元するのでは?という期待にも繋がります。ただし、ROEは当期純利益を元に計算されていますので、特別利益や特別損失があれば、当期だけ高くなったり、当期だけ低くなったりするので注意が必要です。
ROEは、1970年代後半、アメリカで株主構成に機関投資家が増加し、これらの投資家が、投資した資本で企業がどれだけ利潤(儲け)を上げられているのかを重視したことが背景となって重視される指標となりました。
自社株買いでROEが高くなる
外国人投資家(海外投資家)は、ROEを重視する傾向がありますし、企業も中長期目標でROEの改善を掲げることが増えています。
ROEを上げるには、当期純利益を増やすか、自己資本を減らす必要がありますが、自己資本を減らす手段として自社株買いを行うことがよくあります。自社の株式を市場から買い取れば、その株式は自己資本から除かれるためROEが上がります。また、資金調達の際に増資をすれば株数が増えてしまうので、銀行からの借り入れで資金調達する方法もよく使われます。
ROEの目安
ROEの目安は、15%から20%です。ROEを毎年安定して20%確保している企業は優良企業となります。国際基準は8%。JPX400の平均は11%程度、TOPIXの平均は5%から6%程度となります。ROEは、少なくとも市中金利(市場金利)よりも高くなくては魅力がありません。市中金利より低ければ、リスク資産(危険資産)の株式より安全資産の債券に投資した方がいいと考える投資家が多くなります。
ROEは株価を元に計算されていないので、ROEだけで投資を判断することはできません。ですが、ROEは収益力を示していますので、ROEが高い銘柄の株価が下がっていたら、収益力の面や配当の期待から株価が是正されやすくなることは覚えておきましょう。
ROEが高いからといって優良企業とは言えない
ROEは、その数値が高いからといって優良企業だとは限りません。例えば、設備投資に積極的であればキャッシュが多くなってROEは下がりやすいですし、市場からの資金調達が多い企業のROEも低くなりやすいです。つまり、成長産業の企業のROEは低くなりがちということです。
ROEを意識して、市場からの資金調達でなく銀行からの借り入れで資金調達していた企業は、金利の上昇局面では金利負担で苦しくなる可能性もありますので、ROEだけで判断するのはよくありません。
単独ROEと連結ROEはどちらを重視する?
決算には、単独決算と連結決算があります(詳しくは「決算書を読むための基礎知識」を参照してください)。
現在は連結決算を重視する時代ですので、ROEも単独ROEでなく連結ROEで判断するのが一般的です。
デュポン分解とは
ROEは、売上高当期純利益率・総資産回転率・財務レバレッジに分解することができます。これを「デュポン分解」といいます。ROEを細かい要素に分解して、ROEを構成する要素の改善具合を見るためにデュポン分解は使われます。
デュポン分解の計算式
ROE=売上高当期純利益×総資産回転率×財務レバレッジ
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- 売上高当期純利益=当期純利益÷売上高
- 総資産回転率=売上高÷総資産
- 財務レバレッジ=総資産÷自己資本
このように、ROEを売上高当期純利益率・総資産回転率・財務レバレッジという3つの要素に分解し、それぞれの要素を改善すればROEを高められるという考え方を基にしたもので、これを「デュポンシステム」といいます。
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