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投資部門別売買状況をわかりやすく簡単に解説

投資部門別売買状況



投資部門別売買状況とは

投資部門別売買状況(読み方:とうしぶもんべつばいばいじょうきょう|英語:Trading by Type of Investors)とは、東京証券取引所(東証)が毎週第4営業日に公表する、投資家別の売買状況です。投資部門別売買状況は、「投資主体別売買動向」と呼ばれることもあります。原則、前週分の売買状況が公表され、 海外投資家(外国人投資家)、金融機関、事業法人、個人投資家などの投資家別の売買状況が記されています。



投資部門別売買状況の推移

投資部門別売買状況は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで、これまでの推移が確認できます。



投資部門別売買状況の見方


(姉妹サイト「株式マーケットデータ」の投資部門別売買状況の票)


投資部門別売買状況を見れば、現在どういった投資家が買い向かっているのか、売り向かっているのかを掴むことができます。もし、海外投資家が大きく買い越している状況であれば、海外投資家比率の高い銘柄が強いのではないか?と予測することができます。市場のメインプレーヤー(リード役)を把握する際にも有効となるため、投資部門別売買状況はチェックしておきましょう。



海外投資家・信託銀行の欄



項目

見方

海外投資家

信託銀行

基本的に上昇相場の時は、海外投資家は順張りで買い上がり、信託銀行(年金資金を運用している)は利食いし、下落相場の時は、海外投資家が売り越し、信託銀行が逆張りで買いやすいです。信託銀行は基本的に上値は買ってきません。高値掴みをしてしまっては、年金資金を運用している立場として言い訳できませんので。
逆に、海外投資家は上値を積極買い、下値を積極売りしやすい傾向があります。

日本株の外国人保有比率は約30%、東証一部銘柄では60%以上となっていますので、日本株の海外投資家の売買動向は日本株の相場に大きな影響を与えます。投資部門別売買状況の中でも「海外投資家」の欄は特に注目度が高いです。海外投資家が買い向かっているのか売り向かっているのか、しっかりチェックしておきましょう。日経平均株価が上昇・下落する際は、海外投資家の買いや売りの影響が大きいです。


用語の解説

順張りとは、相場の流れに逆らわない買い方(売り方)のことです。現在価格が上がっているから、これからも上がるだろうと思って買うこと、あるいは現在価格が下がっているから、これからも下がるだろうと思って売ることです。

一方、相場の流れに逆らった買い方(売り方)を逆張りといいます。現在価格が下がっていてこれ以上は下がらないだろうと思って買うこと、あるいは現在価格が上がっていて、これ以上は上がらないと思って売ることです。

信託銀行とは、投資家から集めたお金「信託財産」を保管・管理し、信託財産を使って金融商品を売買する信託業務を行う銀行です。

利食いとは、含み益が出ているポジションを反対売買して利益確定することです。

海外投資家(外国人投資家)とは、日本市場に投資する海外の年金資金や投資信託、保険会社、ヘッジファンド、国内の外資系企業、海外の個人投資家など、外国籍の投資家を指します。



海外投資家の特徴

海外投資家は、日本の経済や景気、企業業績の変化に敏感です。それらにいち早く反応して投資行動を起こす傾向があります。ただし、海外投資家は自国の経済や景気、株価が低調な時は、日本の経済や景気に関係なく日本株を売りにくる傾向もありますので注意が必要です。一方、自国の経済や景気、株価が堅調な時は日本株にも資金を振り向けやすくなります。

海外投資家が日本株に投資する際は、日本の国際優良株に投資しやすいです。そのため、海外投資家が買い向かっている際は、東証一部の外国人持ち株比率が高い銘柄が買われやすくなります。逆に、海外投資家が売り向かっている際は、外国人持ち株比率が高い銘柄が売られやすくなります。

海外投資家はドル建て日経平均株価を見ているため、為替動向も売買動向に影響します。海外投資家にとっては、円高で日本株が上昇すれば買いで儲けを増やしやすいということも考慮して見ておくとよいでしょう。



現金・信用の欄



項目

見方

「現金」
「信用」

投資部門別売買状況では、個人投資家の「現金」と「信用」もチェックしておきましょう。

個人投資家の「現金」は長期資金となりやすいので、「現金」が上昇していれば、この先相場が強くなると予想している個人投資家が多いことを示します。

一方、「信用」は個人投資家の信用取引における売買状況を示していますので、個人投資家の短期資金の動向について知ることができます。「信用」が増えていれば個人投資家は短期的な相場の上昇を予想していることを示し、マイナスで出ていれば個人投資家は短期的な相場の下落を予想していることを示します。

上記の信託銀行もそうですが、基本的に個人投資家も機関投資家(保険会社や銀行、投資信託、投資顧問、年金基金など)も、国内勢は逆張り、海外勢は順張りの投資スタイルをとりやすいです。


個人投資家の解説

個人投資家は、組織のためではなく自分自身のために売買する投資家を指します。

日本では個人投資家の取引高は比較的少ないです。
日本株の外国人保有比率は約30%、東証一部銘柄では60%以上となっていますが、日本株における個人投資家の保有比率は20%程度、東証一部銘柄の保有比率は20%程度ですので、海外投資家に比べて圧倒的に低いです。日本人は、特に個人投資家は株や投資信託を資産としてとらえることが少なく、株は怖い、といった思いが強いことが原因と考えられます。ゆえに、日本株はしばしば海外投資家の売買によって相場が大きく動いたり転換したりします。


信用取引の解説

信用取引とは、証券会社に一定の担保(保証金)を入れて、資金や株式を借りて売買する取引です。信用取引では、保証金額の3倍程度までの取引ができるため、手持ちの資金以上に運用することができますが、反面それだけリスクを伴う取引です。加えて、信用取引は取引の期限がありますので、投資部門別売買状況では短期資金の動向を見るために使われやすいです。

信用取引では、保証金をもとに証券会社からお金を借りて株式を買ったり(これを「信用買い(しんようがい)」といいます)、証券会社から株式を借りて株式を売ったりすることができます(これを「信用売り(空売りともいいます)」といいます)。

投資部門別売買状況の「信用」の欄がプラスで出ていれば、個人投資家は短期的な相場の上昇を予想して信用買いを増やしている、マイナスで出ていれば個人投資家は短期的な相場の下落を予想して信用売り(空売り)を増やしていることを示しています。



事業法人の欄



項目

見方

事業法人

事業法人の欄は、企業の自社株買いが増えれば上昇する項目です。企業から自社株買いをする発表があった時ではなく、自社株買いが実施された時に上昇します。


自社株買いの解説

自社株買いは、企業がすでに発行している自社の株式を買うことです。自社株買いは、企業が自社株買いの発表をした後に株主総会の決議を経て実施されます。この際に発表されるのは、取得株総数の上限と取得価格の総額です。実際にいくらで買われたのかも随時発表されます。

自社株買いは、決算発表に併せて自社株買いの枠を設定することが多いですが、自社株の買い付けの期間は、発表から1年以内が基本です。株価の水準を見ながら買い付けを調整しますが、買い付けががよく行われる時期があります。それは、6月です。4月から5月に自社株買いの枠を設定した企業は、5月と6月の2カ月でその枠の過半使うことが多いです。これは、6月の株主総会を意識していることが要因となっています。ただし、あくまで自社株買いの総額がこの時期に多くなるということで、企業によっては自社株買いの枠は設定しても、結局は実行しない企業もありますので注意が必要です。



投資部門別売買状況の注意点

投資部門別売買状況を見る場合、気をつけておかなければならないことは、投資部門別売買状況は「前週分」のデータであるということです。「前週分」ということは過去のデータですので、大きく相場が変わるような状況では、買い向かっていた投資家が今週は売りに転じていたり、売り向かっていた投資家が今週は買いに転じていたりします。あくまで前週分の過去データですので、気を付けて見るようにしましょう。



SQの際は注意する

投資部門別売買状況は、SQ(スペシャルクォーテーション・特別清算指数)の時はイレギュラーな数字が出やすいので注意が必要です。SQの解説は以下を参照してください。



動画で解説

その他、投資部門別売買状況の各項目ごとの解説はYouTubeの動画で行っていますので、参考にしてください。









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