調整とは
調整(読み方:ちょうせい|英語:correction)とは、「調整相場」とも呼ばれる、株価の上昇トレンド中の下落のことです。株価が上昇し過ぎて過熱感が高まってくると、売りたい人が増えるので株価は下落に転じます。それを株式市場では「調整」と言います。
下落に転じた株価は、売りたい人が少なくなれば、また上昇に転じやすくなります(上昇トレンドが終了していなければ)。
株価は上方向や下方向に一直線に動くものではなく、上昇したり下落したりして、ジグザグしながらトレンドのある方向へ動きます。上昇トレンドは、そうやってジグザグ動きながら下値を切り上げつつ上昇していきます。その途中の下落を「調整」と言います。
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調整のメド
「調整」は、通常は上昇トレンド中に10%を超えて下方に反転する動きのことを言います。相場が上がり続けた後、劇的に下がった時に「上昇トレンドにおける調整(correction within an upward trend)」と言われます。
また、調整のメドとして一般的によく意識されるのが、1/3押しや半値押しです。それに加えて、2/3押しもよく意識されるメドです。
この時、サポートラインは直近の下値となります。図では黒い点線のラインです。株価がこのラインを割れば上昇トレンドは終了し、下降トレンドに転換したと見るのが一般的です。
売買代金をチェック!
株価が反発するポイントのことを「押し目(おしめ)」というのですが、押し目は上図ようにチャートで1/3押しや半値押し、2/3押しなどを意識して押し目を探る見方をしますが、この時、売買代金も注目しておく必要があります。株価が調整局面に入れば、基本的には売買代金は低下する傾向にあります。株価の下落とともに売買代金も低下、その後、投資家の買い意欲がまだ強く上昇トレンドが継続しているのであれば、再度株価の上昇とともに売買代金が増え(積み上がり)やすくなりますので、株価が調整局面に入った際は売買代金の推移もチェックしておくことが大切です。売買代金が増えていない反発は、本格的な反発とならないことが多いので注意が必要です。
※東証一部の売買代金の推移は、当サイトの姉妹サイト「株式マーケットデータ」で確認することができます。
ファンダメンタルズをチェックしよう
上記の調整のメドは、テクニカル分析による基礎的な見方です。株価がサポートラインを割れた所が損切りラインと考えるのが一般的です。ただし、こういったテクニカル分析は、投資家であれば誰もが把握していることです。誰もが把握している通り相場が動けば、投資家はみんな儲かっています。ですが、そうなっていないということは、こういったテクニカル分析通り相場が動かないことが多いということになります。そこで、より相場の分析の精度を上げるために「ファンダメンタルズ」の面からも考えておきましょう。
もし、ファンダメンタルズ、要するに基礎的条件が崩れたのであれば、調整のメドは機能しないと考えるべきです。株式はリスク資産(危険資産)ですので、基礎的条件が崩れたのであれば容赦なく売り圧力がかかり、売りが止んで株価が底を打つまで、上昇は見込めないと見た方がいいです。基本的な株価の底打ちシグナルの見分け方は「株価の底打ちシグナルの見分け方」を参照してください。ここでは、ファンダメンタルズが崩れたかどうかを早い段階で察知するためにまず見ておきたいものや、需給を見るためにまず見ておきたい指標を列挙します。
景気
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日本の経済指標や海外の経済指標を見て、景気が悪化していないかを確認しましょう。景気が後退(リセッション入り)したのであれば、リスク資産である株式は大きく売られやすくなりますので、テクニカル分析による調整のメドは機能せず、ベアマーケットに転じたと見るべきです。。ポイントとしては、今の景気を見るのではなく、株価は半年先や1年先の業績を占って推移しますので、先行の景気の動向について見るようにしましょう。
※各経済指標の見方については「経済指標」のページを参照。
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金融政策・財政政策
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金融政策や財政政策が、株価にとってプラス要因となってるのかマイナス要因となっているのかを見るようにしましょう。
※金融政策・財政政策の見方については「もっと分析する」の「金融政策・財政政策をもっと分析する」の欄を参照。
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為替
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日経平均株価とドル/円は連動性があります。短期的には連動しないこともありますが、中長期的にはその連動性は顕著です。ドル/円の相場が円安方向に進めば日経平均株価は上昇し、円高に進めば日経平均株価は下落しますので、為替相場が円高トレンド入りしたかどうかをチェックしましょう。
※「為替」と「想定為替レートと実勢為替レートの見方」のページを参照。
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信用
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基本的に株式など金融商品は「信用」が土台となっています。経済や企業に信用不安が起これば、金融市場はショック的な動きとなりますので、経済や各企業に「信用」という前提が崩れていないかを必ずチェックするようにしましょう。
※「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)とは」のページを参照。
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日経VI
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日経VIが上昇している最中は、株価の上昇は見込みにくいです。また、株価が上昇しているにも関わらず、日経VIが下がりにくい状態が続いていれば、株価はまだ底を打った可能性が低いと見れます。
※「日経VI(ボラティリティインデックス)」のページを参照。
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業績の変化率
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企業業績の変化率が鈍化・悪化したのなら、投資家はその株式を手放したくなりますので、売り圧力が高まりやすくなります。先行に業績の鈍化が見込まれれば、投資家はその株式を買う理由がなくなりますので、ベアマーケットに転じやすくなります。
※株価の変動要因「業績の変化率」のページを参照。
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これらは、ファンダメンタルズの変化を把握するために「まず」見ておきたいものです。相場は状況によって千差万別ですので、上記の要因とは異なる要因で動くことも多々あります。ゆえに、状況別にその都度判断する必要がありますので、当サイトの「トップページ」の中から状況に合った項目を選んで状況別に対応することが大切ですが、まずは上記の要因を点検してみて、ファンダメンタルズが崩れたかどうかをいち早く検討し、株価が調整の範囲内で推移するかどうかを判断することが大切です。ファンダメンタルズが崩れれば、テクニカル分析は機能しなくなりますので注意しましょう。
また、株価が「急落」した場合はこれとは対応が変わりますので、急落を伴う株価の下落に遭遇した場合は以下のページを参照してみてください。
・相場急落時の対応
・相場急落時に見るべき指標
・世界的に株安になる時の投資家の動き
・狼狽売り(ろうばいうり)とはー狼狽売りの適切な考え方
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