ブックビルディングとは
非上場だった企業が証券市場で株式を公開する(上場する)ことを決めると、その企業が上場する際の主幹事となる証券会社が、銀行などに株式の希望購入価格を聞いて、価格はいくらからいくらまでの間ならいいかを聞いて価格の範囲を決めます。この価格の範囲を「仮条件価格(かりじょうけんかかく)」と言います。
IPOが欲しい投資家は、この決められた仮条件価格の範囲内で希望する価格と株数を決めて証券会社へ申し込みます。これを「ブックビルディング(英語:book-building formula)」と言います。IPOを買うには、このブックビルディングで申し込まなければなりません。
次に、幹事の証券会社は、ブックビルディングに申し込まれた投資家の予約状況を見て公募価格を決めます。公募価格が決まれば、投資家はその公募価格を確認した上で、その公募価格で何株買いたいかを証券会社に申し込みます。この申し込みが多ければ抽選となります(IPOは、この申し込みが多いことが当たり前なので、ほぼ全て抽選となります)。
ブックビルディングの仕組みと公開価格の決まり方
つまり、ブックビルディングとは、新株の発行時に新株を引き受ける証券会社(引受証券会社)が新株を発行する前に、その株へのニーズを調査して、新株の公募価格を決定する方式です。ブックビルディングは「需要積み上げ方式(読み方:じゅようつみあげほうしき)」とも呼ばれています。
引受証券会社は、まずは機関投資家等の意見を参考に新株の仮条件(価格帯)を決定します。その仮条件を投資家に提示してその需要を調査し、公開価格を決定します。その株が欲しい投資家は、仮条件が提示された時点で取得希望価格と取得希望株数の申し込みが必要になります。
ブックビルディングのメリット・入札方式との違い
ブックビルディングのメリットは、その新株への投資家の需要を把握することによって流通市場(発行された有価証券の取引が行われる市場。この場合は、株式の取引が行われる市場です)を勘案した公開価格の決定が可能になることです。そのため、株価への信頼感を高めることができます。
ブックビルディングが行われる前は、「入札方式」といって、仮条件の提示を行わない方式で行われていました。入札方式は、投資家が自由に希望価格で入札できる方式であるため、スペキュレーション(投機)的な入札が発生しやすく、流通市場の取引に悪影響が出ていました。
IPOを買う時の流れ
証券会社のHPやネットなどでIPOの情報を確認する
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IPOを申し込む
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ブックビルディングに申し込む
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公募価格が発表される
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抽選結果の発表
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当選すれば、公募価格と手数料を支払って購入
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IPOが上場する
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ブックビルディング申込みの際の注意点
ブックビルディングでは、上限の価格で申込まなければ抽選の対象外となりやすいです。そもそも買いたい人が多いために抽選となっていますので、上限の価格で申込まなければ抽選の対象にもならないことがあります(稀に人気のないIPOでは、公募価格が上限以外で決まることもあります。その場合は、仮条件の価格帯が引き下げられることがあります)。
ブックビルディングは、その期間内に申込まなければなりません。締切の当日は早く締め切られることもあるので、申込む場合は、締切の前日までに申し込むようにしましょう。
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