キャッシュフロー計算書とは
キャッシュフロー計算書(英語:statement of cash flows)とは、決算期間内の現金、預金など(キャッシュ)の流れを示した決算書です。簡単に言えば、企業活動において、お金がどのように創り出されて、どのように使われたのかが載ってる書類です。つまり、現金の出入りが載っている書類です。
会社は、取引先と商品の引き渡しを行う際、キャッシュの授受が行われることはあまりありません。ですので、キャッシュがなくても商売は回していけるのですが、給料や仕入れ代金を支払う際、キャッシュはやはり必要になります。損益計算書と貸借対照表では具体的なキャッシュの流れはわかりませんので、キャッシュフロー計算書でそれを確認することになります。
|
キャッシュとは
キャッシュとは、現金や預金に加え、定期預金や手形(短期)、小切手、コマーシャル・ペーパー(CP)など、いつでも現金として扱えるもの(現金同等物)を指します(コマーシャルペーパー(CP)とは、1週間から1年程度の短期資金繰りのために発行する約束手形のことです)。
キャッシュは、会社の血液ともいわれています。例え成績が良い人でも、血液の流れが悪ければ病気になってしまいます。キャッシュが会社の実態を表しているともいわれています。その重要なキャッシュの流れを見るのがキャッシュフロー計算書です。
|
他の決算書の「現金」との違い
実際に3つの決算書を見たことのある方は、キャッシュフロー計算書以外の決算書にも「現金」などキャッシュの項目があることに気付いていると思います。ですので、キャッシュフロー計算書でなくても現金がどれだけあるかわかるぞ、と思われるかもしれませんが、キャッシュフロー計算書以外の「現金」などの科目は、入金以前でも売上が記載できたり、入金以前でも利益が記載できたりするので、実際にお金が入ってきていなくても、数字上は業績として見せれることができます、
それに比べキャッシュフロー計算書は、現金とすぐ現金化できるものの増減を示しますので、会社の事業活動における具体的なキャッシュの流れが把握でき、経営がうまくいっているのかや、危険な状態になっているのかなどをチェックすることができます。
ただ、キャッシュフロー計算書は、歴史が浅い決算書です。2000年から日本の会計に加わることになった財務諸表のため、明確にアテにできる分析が出来ない面があります。そんな分析しにくいキャッシュフロー計算書ではありますが、当サイトでは、一般的にキャッシュフロー計算書を見る際に注意すべきことを、基本的な見方から解説していきます。
収支ギャップとは(キャッシュは利益とは違う)
キャッシュは利益とは違います。上記でも振れましたが企業同士の取引では、商品は渡したけれど、振り込みは数か月後ということが普通にあります。つまり、現金は数か月後しか入ってこないのです。これを「収支ギャップ(しゅうしぎゃっぷ)」といいます。
[収支ギャップの計算]
例えば、商品は渡したけれど、振り込みは3か月後とします。商品をつくるために必要だった原材料費の支払いが2か月後だったとすると、1カ月の差(ギャップ)が出てきます。これが収支ギャップです。この時の収支ギャップは1カ月となります。
[キャッシュと利益は違う]
この収支ギャップによって、キャッシュと利益が一致しない状態となります。上記の例の場合、2か月後に原材料費の支払いをしなければなりませんが、商品を渡した相手から振り込まれるのは3か月後なので、原材料費が手元になくてはなりません。もしそのお金が手元になければ銀行に貸してもらうなどの方法がありますが、誰も貸してくれなかった場合は、黒字の企業でも倒産してしまいます。企業は赤字だけでなく、黒字でも倒産することがあるのです。つまり、キャッシュを生み出していない企業は、支払い能力がないので、それだけ倒産する危険が高いということです。
こういった黒字倒産は、損益計算書や貸借対照表を見ていてもわかりません。キャッシュフロー計算書で現金の出入りを見ておく必要があります。
キャッシュは未来のためにも必要
キャッシュは、その企業の未来のためにも必要です。1つのビジネスモデルが通用する期間はどんどん短くなっており、企業が持続的に成長するには、常に研究開発するなど先行投資をしておく必要があります。その際にキャッシュが必要になりますので、未来のためにもキャッシュは必要なのです。
キャッシュフロー計算書で大切な3つの項目
さて、実際、企業が開示しているキャッシュフロー計算書を見ると、非常に多くの項目が書かれていると思いますが、その多くの項目は、大きく3つの項目に分類されています。
@営業活動によるキャッシュフロー
A投資活動によるキャッシュフロー
B財務活動によるキャッシュフロー
これらは、キャッシュの流れの実態を正しく見れるように、3つの活動による項目に分類されています。理想的には、営業活動によって得たキャッシュを投資活動や財務活動にまわしている形が望ましいです。
キャッシュフロー計算書を分析する場合、この3つの項目の個々の合計数字が見るべきポイントになります。逆に言えば、この3つの項目の合計数字だけおさえておけば、分析しにくいキャッシュフロー計算書も分析しやすくなりますので、次ページ「営業活動によるキャッシュフロー」から、この3つの項目について1つずつ解説していきます。
ーキャッシュフロー計算書の表ー
米国(アメリカ)のS&P500のキャッシュフローの推移はこちら
S&P500のキャッシュフローの推移は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで掲載しています。
関連記事
関連記事2
|