2004年6月から米国は利上げ(FFレート引き上げ)に入りました。2004年6月までは米国10年国債や米国2年国債はそれを織り込む形で利回りは上昇していたのですが、2004年6月に利上げが始まった時から米国10年国債利回りは低下しました。当時のFRB議長グリーンスパン氏は、この米国10年国債利回りの低下を「謎(コランドラム)」と表現し話題となりました。
この時、米国の利上げは事前に周知されており、市場は米国の利上げを織り込んでいましたので、ショートポジションを持っていた人が買戻したのがひとつと、アジア(特に中国)の中央銀行の外貨準備が米国10年国債に流れ込んだために米国10年国債利回りは低下したと言われています。
2015年からの米国の利上げでも、2004年と同様に長期金利は上がりにくいされています。
それにはいくつか理由があり、ひとつに日欧が金融緩和状態にあることが上げられます。緩和マネーは緩和国から金利の高い国へある程度入ってきますので、米国10年国債が買われやすくなり利回りは上がりにくいとされています。また、2015年からの利上げは、これまでの利上げに比べてペースがかなり緩やかになると言われているため、急激に長期金利が上がるとは予想しにくいです。
そして、長期金利が上がらない最も大きな理由となるのが「FRBによる再投資」です。
FRBは、償還がきた米国債は再投資にまわすとしているのです。FRB議長は、この米国債の再投資によって緩和の状態を維持すると言っています。FRBが米国債を再投資に回す額は2016年2月から高まりやすく、1年間で2000億ドル程度は再投資に回されると予想されています。ゆえに、米国の緩和状態はまだ続くと見られます。もし利上げによって米国の短期金利が上昇したとしても、この再投資があるために長期金利にはあまり影響しないと見られています。別の要因が何かしら絡んでくればこの限りではありませんが、今後長期金利が上がる局面がくるのは、この再投資が終了する時と予想できます。
また、理屈上、利上げを行っても長期金利が上昇する相関関係はありません。というのも、 長期金利というのは、潜在成長率と期待インフレ率とリスク・プレミアムの合計となります。利上げによって将来それらが下がると予測される場合は、利上げを行っても長期金利は上がりません。
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