移動平均線は、期間が長いもの(長期線)の方がトレンドがはっきり出るのですが、長期線は長期の株価の平均値の線であるため、株価が変動した際にはその対応が遅れます。長期線が上向きで上昇トレンドだと見れるのに、すでに株価は下降トレンドに入っていることがあります。よって、移動平均線は、短期の線と長期の線を併用して株価の動向を分析するのが一般的です。
さて、「移動平均線とは」のページで解説しましたが、もう一度、株価と移動平均線の位置関係についておさらいします。
株価が下降トレンドにある場合、株価と移動平均線の位置関係は、一番下に株価、その上に短期線、その上に中期線、一番上に長期線という並びになります。
これが反転して上昇トレンドに移行する場合は、まず株価が上昇し、今まで株価とともに下を向いていた短期線を株価が下から上に抜いてきます。そこから株価が短期線を下回ることなく推移すれば、次は短期線が下向きから上向きの線に変わります。そこから、さらに株価が短期線より上で推移すれば、上向きになった短期線は、まだ株価に反応しきれていない下向きの中期線と交差します。この交差した状態を「ゴールデンクロス」と言い、相場転換のシグナルとされています、
たとえば、5日線(短期線)が25日線(中期線)を上抜けば、ゴールデンクロスとなります。これは、25日線(中期線)と75日線(長期線)の場合も同じで、25日線が75日線を上抜けば、ゴールデンクロスとなります。
短期線と中期線のゴールデンクロスより、中期線と長期線のゴールデンクロスの方が、相場転換のシグナルとしての信頼感は上がることは覚えておきましょう。
ゴールデンクロスとは逆に、上昇トレンドにあった株価が下落し、短期線が中期線を下抜いてしまった場合は「デッドクロス」といい、これも相場転換(下降トレンドに転換)のシグナルとされます。
さらに、中期線が長期線を下抜いた場合もデッドクロスと言い、短期線と中期線のデッドクロスより、さらに信頼性の高まる相場転換のシグナルとされています。
注意しておかなければならないことは、長い期間の方の移動平均線が逆向きの場合は、ゴールデンクロスもデッドクロスも信頼性が下がるということです。
矛盾するかもしれませんが、例えば下降トレンドから上昇トレンドに転換する場合、上向きの25日線が下向きの75日線を上抜いたらゴールデンクロスとなるのですが、この場合、少し相場転換のシグナルとしてはゆるいです。
それよりも、上向きで角度のある25日線と上向きに転じた75日線とのゴールデンクロスの方が、相場転換のシグナルとしては信頼できますので覚えておきましょう。その逆のデッドクロスの場合も同じことが言えます。
さらに補足しますが、25日線と75日線のゴールデンクロスであれば、短い方、つまり25日線が角度を持って75日線を上抜いた方が、信頼できる相場転換となります。
解説の腰を折ってしまうかもしれませんが、そもそもゴールデンクロスやデッドクロスが出る状態というのは、株価はそれよりかなり前に相場転換しています。そのため、ゴールデンクロスした所が売りの急所に、デッドクロスした所が買いの急所にされることがあります。
例えば、既に安値で大量に株を買えている大口の投資家がいたとします。そういった投資家は、ゴールデンクロスが出れば「ゴールデンクロスが出たから株価が上がりそうだ。買うぞ」という投資家が増えることを知っているので、ここで安値で仕込んでおいた大量の株を売ってしまえば必ず儲かるな、と思って売りをぶつけてきたりします。よって、ゴールデンクロスが売りの急所となってしまうことがあります(デッドクロスの場合は、その逆のことが言えます)。大口の投資家は、安値で仕込んでおいた大量の株を売るための大きな買い需要を欲していることがありますので、そういった思惑も頭の片隅に入れておきましょう。
移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスは、株価にトレンドが完全に出た後で出現するので、相場転換のシグナルが出るのが遅いです。移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスより先に相場転換のシグナルを出してくれるMACDを見た方が良いかもしれません。ただし、移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスは、誰しもが知っている相場転換のシグナルですので、知識としては必ず持っておきましょう。
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